シュリンプの繁殖
シュリンプの繁殖
繁殖こそが醍醐味
エビはグッピーのような楽しみ方なのかもしれません。ビーシュリンプなどは、模様の綺麗さを求めて人為的に掛け合わせを行なっていきます。また、ほおって置いても勝手に増えていくのが理想的な環境です。逆に増えない場合は何らかの問題があるかと疑うくらいです。また、エビの寿命は短く、繁殖しない場合はすぐに水槽が空になってしまいます。そのため、水槽に少数のシュリンプを入れてはじめて、数カ月後にはエビだらけの水槽を眺めるというのが楽しみの1つかもしれません。
大型卵タイプか小型卵タイプか?
シュリンプ類には2種類の繁殖形態を持つものが居ます。それは卵の大きさが違います。大型の卵を産んですぐに親と同じ形で泳ぎだす種類のシュリンプが大型卵タイプで、非常にたくさんの小型の卵を産卵するのが、小型卵タイプです。小型卵で生まれた子供はプランクトンのような大きさや形をしていて、すぐに魚に食べられてしまうため生存確率は非常に低いものです。
また、水槽下では塩分を必要とするシュリンプもいてなかなかこの小型卵タイプのエビを繁殖させることは難しいようです。また餌も非常に困ります。プランクトンのような大きさの稚エビは何を食べているのでしょうか?まだわかっていないだけかもしれませんが、とても難しいことだと思います。考えられるのはクロレラのような植物プランクトンか何かだと思います。
シュリンプの寿命と繁殖可能になる日数
種類により違いはありますが、体の大きさから考えると、他のシュリンプも大抵は似たような感じとなっていますが、ビーシュリンプを例にあげます。
寿命は1年〜1.5年くらいです。生まれてから3,4ヶ月程度でオスメスともに繁殖可能になります。交尾後抱卵します。また、抱卵期間は20日程度です。2mmほどの稚エビが生まれて親と同じように泳ぎ出します。一度に20個程度の卵を抱卵します。2,3ヶ月ごとに抱卵するようです。稚エビは脱皮を繰り返して大きくなっていきます。
オスとメスの見分け方
若い時はオスメスの区別は非常に難しいものとなっています。抱卵するようになってくると一見してオスメスの区別がつくくらいに体の丸みが異なりますが、若い時はその特徴がでていないため、かなり難しいものとなってきます。ただ、やはり、細身で活動的なのがオスで太めでおとなしいのがメスだという特徴があります。どうしても完全に判別するのは難しいのかも知れませんので、若いエビの雌雄判別は、だいたいで見極めるしかないのかもしれません。
抱卵から産卵
抱卵後、レッドビーシュリンプの場合ですと20日程度で孵化します。羽化するまでは抱卵といい、卵を腹に抱えたまま生活しています。常に新鮮な酸素を与えるためか、水を送っている様子が観察できると思います。
次第に卵の色が変わり、孵化が近づくと徐々に動きがいつもと変わってくることもあるようです。かなり大きい卵なので中で成長しているのが表面から見て色の変化に現れるようです。
卵が孵化すると、稚エビが親から離れて出てきます。
稚エビの管理
稚エビは、非常に小さいプランクトンを食べています。いきなり親と同じ餌を食べることは難しいかもしれません。そのため、底砂の間の泥や水草がたくさんあるといいかもしれません。
しかし、すぐに細かくすりつぶした餌を食べたりしますので、特別に用意しなくても困ることは無いと思います。もし、数が多く、多くの数を残したいと思えば、稚エビ用の餌というものがありますので、これを使うことをおすすめします。
ビーシュリンプの遺伝について
普通は、白と赤のレッドビーシュリンプの中から自分の好みの特徴をもったエビのオスとメスをかけ合わせていけば、自分の好きな模様を作ることができます。しかし、2,3世代、もっと何世代もかけ合わせていくと、綺麗ではない模様のエビばかりができたり、弱いエビばかりができてしまい、その血統で繁殖させることが難しくなってしまいます。
これを防ぐために、あえて、赤ではなく、黒や茶色のバンドの色を持ったビーシュリンプをかけ合わせていくという方法があります。これを戻し交配といいます。このため簡単な遺伝の法則だけでも理解しておくと大変便利です。ビーシュリンプがわかりやすいので、例にあげてみます。
いい系統の紅白のビーシュリンプだけを掛けあわせていればいいなら、何も考えることもないのですが、通常、同じ水槽内だけで繁殖させていると、どんどんと近縁の種同士で交配が進んでしまいますので、模様がイマイチになったり、増える数が減ってきたりということもあるはずです。しかし、購入したビーシュリンプ同士が稚エビを増やしていって、その稚エビがまた増えていきますので、それほど神経質になることもないようです。
レッドビーシュリンプ(RR)、ブラックビーシュリンプ(BB)、ブラウンビーシュリンプ(BR)
体色はRRというタイプになった時だけ赤色になると考えます。BBは黒でBRは茶色です。色が付いている部分以外のエビの体色は白か半透明です。しかし、実はそれほど単純ではないようです。紅白同士のビーシュリンプでも何代か前に黒や茶色の系統が入っていると、その子が完全に紅白になるというわけではないようです。
ただ、おおまかにいうとRRのビーシュリンプにBRを掛けあわせた後は、何%くらい紅白が出るのか?また、RRのビーシュリンプにBBをかけ合わせると、紅白は基本的にはでないといえるのでそれを理解していないと、いくら掛けあわせても紅白に戻らないといういことにもなるかもしれません。
しかし、基本的に紅白同士を選んで掛け合わせていけば問題ないので、あまり難しく考える必要はないかもしれません。
新しいエビの作出
自分で好みの品種を作るという作業はとても地味で地道な努力がいる大変な作業です。あえてこれに挑戦するのもいいかもしれません。はじめのうちは、出来上がった素晴らしい品種を購入して数代繁殖させて楽しむのがいいかもしれません。しかし次第になれてくると、それを自分の思い通りにコントロールしてみたいと思うようになってくるかもしれません。
ただ、普通に白と赤のバンド模様のビーシュリンプだけでは物足りないという欲求から様々な模様が生まれました。これでさらに何かを目指すのかということもありますが、普通に綺麗な状態のシュリンプを何世代も維持していくことは難しいものです。放置しておくと、やがて綺麗な模様のエビは居なくなってしまうかも知れません。それも自然の流れでよいかもしれません。また、自分で模様ごとに水槽を作るとそれはなかなか楽しいものです。黒いバンドのビーシュリンプと赤いバンドのビーシュリンプを繁殖させて維持していると、水槽を眺める楽しみが増えるかも知れません。それが、いくつもあるかと考えるととても興味はつきません。
まず、一番大事な作業がオスとメスの選別です。これは繁殖が始まる前に行わないと意味が無くなってしまいます。また、ビーシュリンプに関して言えば、オスが一度交配すると、そのメスは2,3回は産卵が可能なようですので、早めに隔離して選別しないと大変です。
何を求めていい品種の系統を維持するか?
これは難しい問題ですが、人それぞれだと思います。多いのが色の濃さではないでしょうか?まずは、色がシッカリとでないとおもしろみが減ってしまいます。そして、大きさなどでしょうか。その次に模様となってくるのだと思います。
個人的には、丈夫で色が濃くて、ツヤがあるようなものはいいと思っていますが、そういう特徴を持ったエビを何ペアも同じ水槽に入れておいて、あとは勝手に増えていくのを待つくらいしかありません。2匹だけを隔離して繁殖させるというところまでしても、なかなか思うように繁殖してくれないかもしれませんので、複数匹入れておくという方がいいようです。
ビーシュリンプの場合、色が赤、黒、茶色とあり、白の部分もあります。
欲しい特徴が他の色に載っている場合には一度、求める色から変わってしまうことになります。それをまた戻すことになるので、少し手間がかかるかもしれません。
レッドチェリーシュリンプの場合は、特に何も考えずに赤が濃いものを選んで水槽に入れておくくらいしかできることはないかもしれません。しかし、メスが特に赤く、オスはあまり赤くならないという特徴がありますので、気がついたらメスしか居ない水槽にならないように注意が必要です。
似たような種なのに違う名前で続々と海外から新しいエビが入ってきますが、これらは元々がどういう種なのか不明な物が多いです。改良されたもので同じ種なのか?それとも別の種なのか?わかりません。そのため、複数の種類のエビを混ぜて飼育するのはあまり良くないと思います。思わぬところでかけ合わせが行われて、もっていたいい特徴が薄れてしまうかもしれません。
また、逆にそういう雑種を作りだし、そこからいいものを選抜して固定するということで自分のオリジナルの特徴をもったエビを飼育できるかもしれません。